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ぐつぐつと小さく音を立てる鍋に箸を突っ込み、野菜を取る。
お花の飾り切りがされているニンジンや、しなっと柔らかい白菜や長ねぎ、鍋の出汁を吸ったシイタケ、柔らかい豆腐……。
「ふー、ふー……あふ……あふ……。……豆腐うっまぁ」
外で冷え切っていた体がお風呂とお鍋でぽかぽかと温まる。
冷えたビールをゴクゴクと喉に流せば、心まで満たされる。
「っはー、最高。お鍋もビールも最高に美味しい」
「いいなぁ、俺も姉ちゃんと飲みたい」
「二十歳になってからね」
「はー。なんで俺姉ちゃんと年の差あるんだろう……」
「来年には二十歳でしょ。それに3つしか違わないし」
「3つも!」
素面の駆馬の方が酔っぱらったテンションでテーブルをバシバシと叩いている。
私は豆腐を食べてビールを飲み、野菜を食べてビールを飲み、シイタケを食べてビールを飲む。
「美味い……」
「聞いてる!?」
「聞いてる、聞いてる。3つしか年が離れてないって話でしょ」
「3つもだってば!」
あぁ、お鍋美味しい。やっぱり冬はお鍋とビールだよ。
ここに炬燵があればなお良し。
でも炬燵なんて置いてしまったら、もう二度とそこから出ることはできないだろう。駆馬をこき使う未来が見える。
いくら居候とは言え、そこまでぐうたらしてしまったら駆馬が出て行ったときに困るのは私自身だ。
「……それに食っちゃ寝って太りそうだよね」
「やっぱり聞いてないよね……?」
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