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――これから伝えるのは、今の君はまだ思い出していない、僕達の大切な思い出についての話だ。心を落ち着かせて聞いていて欲しい。
こんなにも君を傷付けた、その原因は……あの雪の中で、僕がその選択をしたせいだ。
確かに、あの雪を溶かしたのは君なのだけど。僕がそう願って、君は応えてくれたからで、君には何の責任もない。
そう遠くない未来、僕は消えてしまうだろう。それも、僕が自らもたらした因果でしかないのだから……どうか、自分を責めないで。
……それでも、僕はね。あの日、雪を溶かして。この星を生命溢れる世界にしたことまでを、後悔したくはないんだよ。
生まれてくるだけで大地を、大気を害し。何ものをも傷つけずに一生を終えることの叶わない、罪深い存在だとしても。生みださなければ知ることの出来ない幸せな営みだって、確かにあるはずだから――
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