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≪空飛ぶ箱≫の中よりアンバーは景色を眺めていた。
と言うより、眺めるしかなかった。
「……。」
「……。」
(気まずい…!)
アルデバラン婦人はじっとアンバーを見つめていた。
(なにか話してくれないかなー、気まずいなー。。。)
「アンバー様は猫がお好きなのですか?」
「っへ…!は、はい!」
(び、びっくりしたー、、、でもなんで猫?)
「猫の模様の靴下をお召でしたので、」
(靴下⁉靴下見てたの⁉)
「…。」
「…。」
(もおやだあ…)
アンバーが想像していたよりも≪アルデバラン婦人≫は変わった人だった。
(どおしてシリウスさんの知り合いって変な人ばっかりなの…⁉)
沈黙の中≪空飛ぶ箱≫は猛スピードで進んで行く。
「アンバー様、あちらに見えますのが 星雲第二拠点 彩白港 ですわ。」
レンガ造りの街並み、その周りを山々と鮮やかな海が囲んでいた。
「やっと着いた…」
「お疲れ様です。アンバー様。セシル様とのお約束の時刻までまだ時間があります故少し町をまわりましょうか。」
家々の間に渡り鳥の声が響いていた。
北東から南西までを山、南西から北東を海が囲む観光地 彩白港。
しかしどこか違和感を感じる。
「なんだか静かですね、あまり人がいないんですか?」
「そうですね、後でセシル様に伺いましょう。」
「あの、ひとつ聞きたいことが…」
「はい、なんでしょう。」
「お金ってどうすれば…」
「あら、それならアルマ様からお預かりしておりますわ。…足りるかしら…」
「えっと、、、どのくらいですか?足りますよね。。。?」
「アンバー様の旅の生活費を引くと。。。あちらの山一つ買えるくらいしかありませんわ、」
「っへ?」
「同情いたしますアンバー様、今度アルマ様に≪少なすぎる≫とお伝えしますわ」
「いやいや、全然大丈夫ですっほんとに、足りますというか余ります!!」
「あらそうですの?」
アンバーは目の前の婦人が≪変わった人≫だということ忘れていた。
(この人どんだけ金持ちなの!?)
二人は町を歩きセシルの待つ場所へと向かった。
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