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誰もがこの平穏な日常を続けられると信じていた。
輝かしいこの少女、アンバーもそう思っていた。
「みんな!久ぶり…、」
変わりない日々が、
「ねぇ、あれって、」
明るい未来が、
「昼に流れ星?すげーでけえな」「あれ大丈夫なの?隕石?」
「こっちに来てない?」「ち、地下ににげようよ…」
私の大切な友達が、
「皆!地下に逃げろ!はやく!!」
消えちゃうの?
運命は無慈悲だ。人生も、喜びも、希望も。運命の前には無力なのだ。
直後、激しい光が一同を襲った。
いつのまにか、アンバーは暗闇にいた。
(さっきまで何をそんなに怖がってたんだっけ、忘れちゃったな…
ここどこだろう来た事あったかな)
(あれって、、、)
「ママ!お姉ちゃん!」
アンバーは走った。二度と会えないと思っていた家族を力いっぱい抱きしめたかった。しかし、いくら走っても目の前の二人には触れられない。
「アンバー、いい子にしてたよ!」
追いつきたいのに、
「アンバー、ママとお姉ちゃんにずっと会いたかったんだよ!」
どうかもう一回だけ、
「…アンバー、来ちゃだめよ。まだ、その時じゃないわ。」
「アンバー、ごめんね。」
なんでいつも私だけ、
『アンバー 愛してる。』
置いていかないで…!
「ん?やっと目が覚めたか。」
(…夢?でも、ママとお姉ちゃんは…)
「俺がいなかったらどうなっていたことか、想像もつかないな。」
(というかこの人誰?ここどこ?今何時?)
「あっ!みんなは?隕石どうなったの?」
「へえ、随分意識がはっきりしてるな、大したもんだ、大したもんだ。
何と言ったらいいものか…この周辺で助かったのは君ぐらいじゃない?」
「…え?今なんて…」
「すまないが、助けられたのは君一人だけだ。」
アンバーは頭が真っ白になった。まだ夢の中なのだ。そう信じたかった。
「ごめんな、だが、君の命が助かったことをまず感謝しないと。君ってばどっかの勇者の娘なの?こんな状況で生き残れるなんてただもんじゃないね。」
ああ、また神様は私からたいせつなものを奪うのね。
「だいじょぶ?お嬢ちゃん。まあ一般人なら無理もないか。 深呼吸して、ほら、1,2,3…」
「…」
「えぇっと、年頃の子には何て言えばいいのかさっぱり、あ、そうだお嬢ちゃん魔法とか好き?俺こう見えて魔法使えるんだー」
なんで私だけ生き残ったの?どうして、どうして、
またアンバーを一人にするの?
「ほらっ見てこれ宝石ー、きれいでしょこの宝石はね、アンバーっていうんだよ知ってた?ついでにこれはね… お嬢ちゃん、泣いてるの?」
気づけば大粒の涙があふれていた。しかいが歪んで目の前にいるよくわからない人が先ほど見ていた時の150倍不細工だ。
(息がしづらい。このまま私が消えてくれたら、)
「…手握ってて、ぼくの師匠のところに連れて行ってあげるから」
(もう、いやなんだ)
世界は真っ暗で、残酷。人の気持ちなんて考えてくれないわ。
私はどうして生きているのかな、もう考えたくない、考えたくないのに
アンバーは気づかぬ間に眠りに落ちていた。
時は明け方、謎の隕石の襲撃からもう数日たっていた。
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