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エピローグ
「上官との待ち合わせには5分前集合じゃなかったのか?」
「異端審問官の心得8条”審問官は独立しそれぞれ対等な立場にある”、ですよね」
よく読んでやがるとゼッテは口角を上げた。
あの日、東の領主はゼッテの働きで解放された。司教とその仲間は捕らえられ、街は元通りだ。司教は神杖を向けてから動かなくなった。
「司教様は本当に亡くなるのですか?」
「神杖は音魔法で今までそいつが不幸にした者達と共鳴して同等の痛みを体験させるものだからな。残虐な行為をやった分だけ、キッチリ報いを受けて死ぬ」
「......そうですか」
エルノリアは神杖を旅装に結びつけて立ち上がる。
「行くのか?」
「はい。兄姉達を探さねばなりません。彼らもまた、神官でありながら悪を行ってきましたから」
「エルノリア」
ゼッテは下を向きながら歩くエルノリアにハンカチを渡した。
「お前の偽物の父は確かにお前を騙した。だけどな、俺達にはもっと大きな父が居ることを忘れるな」
「......わ”がっ”て”……い”ま”す”」
2人の背中に鐘の音が祝福のように降り注いでいた。
ーーおわり
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