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「照れるしょ」
「なに?」
「ハルキは、私のことが大好きだなぁと思ったの」
「何言ってんの。大好きだから、ユキの住んでる街を見にきたし、知って好きになりたいんだよ」
恥ずかしげもなく、素直にそう言ってくれるから、胸がいっぱいになる。雪が降り積もる、ただ白い景色が、今ではなんだか、とんでもなく素晴らしいものに見えてきた。
恋というのは恐ろしいものだ。
あんなに嫌だった雪ですら、今は嬉しいものに変わってきてる。バカみたいだと思う反面、ハルキへの愛しい気持ちが雪のように胸中で募る。
「私も好きだから、次はハルキの街に行きたいな」
「案内するとこ探すよ」
「いつもハルキが行くとこね」
「もちろん、はぁ、でもやっぱ雪きれいだな」
感嘆のため息を漏らしながら、ハルキが雪を見上げる。特別な雪が、私たちに降り注いでくる。
* * *
到着口に着いたハルキは、私を見つけた瞬間、ガラス越しによっと軽く手をあげた。
私も当たり前のように手をあげて返す。荷物を取った人から順番に、ガラスを通り抜けて、北海道に降り立つ。ハルキの番を待ちながら、変わらずに降り積もっていく好きの気持ちに自分自身でめまいがしそうになった。
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