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北海道は毎冬、雪を募らせては私たちの生活を窮屈にする。雪かきは体をガッチガチに痛めるし、寒すぎて外に出る気なんてさらさら起きない。思い出すだけでも、体が冷え切りそうになってしまう。
それでも、私の心の中の雪はやっぱり特別で美しいものだ。
雲ひとつない青空を見上げて、薄手のコートの前を締めた。どうやら春はもうすぐそこまで来ているらしい。暖かくなってきた風に頬を撫でられながら、今日の予定をスマホのカレンダーを確認する。
彼はどんな格好で来るだろうか、飛行機はちゃんと飛んだだろうかと想像してしまう。
バスを降りれば飛行機のゴオオオという音が鳴り響いている。飛行機が、頭上を通り抜けていき、彼に思いを馳せる。彼の飛行機の時間にはまだ早いのに、彼かもしれないと思ってしまうのは、気が急いてるからだろうか。
私の住んでる街を、キレイだと、好きだと言ってくれた彼に会える。それだけで、何もかも吹き飛んでいく気がした。
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