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♯05. 直情的なまでに R
第六感、というものが働いたのか。
引き寄せられるように、足が勝手に、非常階段のほうへと向かっていた。
フロア内に休憩スペースはあるのだが、全館喫煙禁止。
そんなわけで、ビル裏手の非常階段のあたりは喫煙者の需要があった。
しかし、おれは知っている。きみは――
仕事をさぼって喫煙する、そんな女の子じゃないっていうことを。
* * *
肩をふるわせて泣きじゃくる小さな背を見つけ、どうしようもない感情が胸の奥からこみ上げた。
きみをそんなに泣かせるとしたら、相手は……あいつしかいない。
「冷えるぞ」あらかじめ用意しておいたブランケットをその背にかけてやる。と泣きぬれた顔できみは、ありがとう、と呟いた。
「はぁ。……こんなときでも変わらず仕事ってのは存在するのよね。……五分したら戻らないと」
「あいつのことでか?」
顔を起こしたきみは、いますぐキスしたいくらいに、美しかった。
たとえその顔が涙に濡れていても。
「さぁ……どうでしょう?」
「おまえをそんなに泣かせる相手がいるとしたら相手はあいつしかいない。……浮気するようなタイプには見えない」
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