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「馬鹿」と息を切らさずあたしは、「筋トレ行くのが自分だけの習慣だなんて本気で思ってるの?」
何事かと周囲の目を集めまくるあたしたち。表参道を歩くが大勢のひとたちが見てくる。すっげ、あれ、本物? と。
「後で確かめさせろよ」
「うん。……氷堂」
足を止めたあんたに、あたしは、
「大好き」
抱きしめられ、狂おしいほどの接吻を見舞われる。
物語を選ぶのは自分たちなのだと、思い知らされる。
この気持ちに正直に生きるって決めたの。
抱きしめあうあたしたちに六月のあたたかな日差しが降り注ぐ。世界はずっと、手の届くところに広がっているはずだった。
―完―
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