♯08. 運命

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「馬鹿」と息を切らさずあたしは、「筋トレ行くのが自分だけの習慣だなんて本気で思ってるの?」  何事かと周囲の目を集めまくるあたしたち。表参道を歩くが大勢のひとたちが見てくる。すっげ、あれ、本物? と。 「後で確かめさせろよ」 「うん。……氷堂」  足を止めたあんたに、あたしは、 「大好き」  抱きしめられ、狂おしいほどの接吻を見舞われる。  物語を選ぶのは自分たちなのだと、思い知らされる。  この気持ちに正直に生きるって決めたの。  抱きしめあうあたしたちに六月のあたたかな日差しが降り注ぐ。世界はずっと、手の届くところに広がっているはずだった。  ―完―
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