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コピー機の前で、段ボールをぱきぱきと開封し、コピー用紙を取り出してさくさく補充する。慣れれば一分程度の仕事。しかしそれをみんなやりたがらない。
「……本社だとベテランがんな雑用すんの? いまどき? 新卒はなにやってんの?」
気配なく後ろに立つな。氷堂よ。
あたしは屈むとがらりとトレイを引き出して書類を整えると用紙を補充しつつ、「前部長の方針で。新卒には雑用はやらせないって決まってるの。氷堂次期部長がどうされるかは、up to you. 氷堂さん次第だと思いますがね」
「ふぅん。……あいっ変わらずおまえってそういうとこ、気が回んのなー。よその部署の電話も出てるしな」
「……しないと、発信者が困ってしまいますので」
ああもう、気が付かないで欲しい。あたしのことなんか。
放っておいて欲しい。このまま、何事もなかったかのように、忘れて――。
「NYまでおまえの評判は届いてたぞ。なんか、やたらとなんでも出来るスペシャルな人材がいる、ってな。……すげーな。おまえって。中国語の挨拶まで出来るとかなんとか」
「いえ。褒められることのことではないです。それでは」
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