♯05. 直情的なまでに R

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 となると、なんだ?  頭を動かせ氷堂。  考えるときはひとはどうしようもなく、非道になれる。  情を失い、俯瞰し、冷徹に物事を判断する。  時間にして三秒。おれの思考はあるほうへとぶち当たった。 「不能。……だからほかの男に抱かれてもいい、とでも言われたのか?」  核心を突いた。きみはふふふと笑った。「だからって、……どうというわけでもないんだけど。  ただ、単純に。  受け入れられないってだけ。  ……そこを除けばすごく……いいひとなんだけれど……」  その若さでセックスレスか。致命的だ。  大概、その欠点さえなければ、と言える欠点は、誰にもどうにも出来ない。  その重大な欠点があってこそ、その人間の人間性は成り立っており、ゆえに、仮に、外でいいひとであったとしても、そんなのはただの傲慢だ。重大な欠点に向き合ったうえで考えに考えて、相手を傷つけぬ方策を考えねばならない。  その努力をあいつは、放棄した。  情シスの高原直樹(なおき)。……おれの惚れに惚れぬいた女に先に手をつけた宿敵。  あいつがそんな重大な欠点を持っていたとは……。  「……花谷。
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