♯05. 直情的なまでに R

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  ぼくに、チャンスをくれないか?」  突然の提案に目をやや見開かせる。開いた花を……見てみたい。 「おれなら、おまえを、愛しに愛しぬいてやる。  惚れた女にしか見せない、シックスパックも見せてやれる」  おれの冗談にちょっとおまえは笑った。「マリリンにしなよ」と。 「駄目だ」おれは言い切った。「相手は、おまえじゃなきゃ駄目なんだ。花谷。  とにかくおれにチャンスをくれ。  一晩過ごして、それで駄目なら、……諦める」 「氷堂……」 「おまえならとっくにおれの気持ちに気づいていると思っていたさ。……だろ?」 「氷堂。……あたし。ひどいことをしようとしているのかもしれない。  でも、こころの整理がつかないの。  結婚したら子どもも欲しいし、……みんなが手にしているような幸せを手に入れたいって思っている。  なのに、――逃げたい」  おれは迷わずおまえを抱きしめてキスをした。初めてのおまえとのキスはすこし、塩辛い味がした。  おれはおまえの涙を拭い、 「おまえとならば、地獄にだって一緒に落ちてやるよ。――緋名子」  それが始まりだった。  * * *
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