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総支配人
ホテル フォルトゥーナ東京の総支配人、
神崎 一生は、秘書の早瀬を連れてバンケットホールに繋がるバックヤードを足早に歩いていた。
「パーティーの様子はどうだ?」
前を向いたまま、背後の早瀬に声をかける。
「はい。お客様はほぼ予定通りの人数。乾杯のあとお食事となり、スライド上映やスピーチを挟み、現在はデザートとご歓談を楽しまれているところです」
一生は頷くと、例の準備は?と短く問う。
「そちらもすでに整っています」
早瀬は、一生よりも2歳年下のまだ若い秘書だが、気配りや仕事のこなし方などは群を抜いており、一生は全幅の信頼を寄せていた。
長い通路の先に、ホールに繋がる扉が見えたちょうどその時、中から扉が開いてバンケットマネージャーの福原がバックヤードに入ってきた。
一生の姿に気づき、すぐに近づいて来て頭を下げる。
軽く手を挙げて、福原に顔を上げるようにうながしてから、一生がたずねる。
「ご苦労様。中の様子はどうですか?」
「はい。滞りなく進んでおります。お食事のペースは落ち着いていまして、デザートのフランベ実演をたった今おこなったところです」
「確か、クレープ・シュゼットでしたね」
「さようでございます。他にも、クレームブリュレのキャラメリゼをおこないました」
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