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その時、瑠璃のスマートフォンがバイブで震える。
見ると、父からの着信だった。
戸惑っていると、どうぞと早瀬がうながし、自分のデスクに戻っていく。
瑠璃は小声で応答した。
「もしもし、お父様?」
「ああ、瑠璃?今、大丈夫かい?」
「ええ。あの、何かあった?」
「それがな、うちの病院の電話が朝から鳴りっぱなしなんだ。お嬢さんの結婚についてひと言、とか、お相手をどう思うか?とか」
「えっ!それは、週刊誌の?」
瑠璃の言葉が聞こえたらしく、一生と早瀬がこちらに身を乗り出すのが見えた。
「なんだか早口でよく分からんのだけど、どうやらそうらしい。瑠璃、何かあったのか?とりあえず父さんは、何のことやら身に覚えがありません。とだけ答えているけどな」
瑠璃は小さく息を吐き出す。
「迷惑をかけてごめんなさい。その対応で大丈夫です。今後何か言われても、そう返事してもらえれば」
「分かった。瑠璃は大丈夫なのかい?」
「ええ、私はホテルにいて大丈夫よ」
「そうか。何かあったらすぐ連絡しなさい。帰りもハイヤーをそちらに向かわせるから」
「ありがとう。とりあえず、また連絡します」
そう言って電話を切る。
「もしや、お父上の病院にまで問い合わせが?」
早瀬の言葉に、瑠璃は小さく頷いた。
一生は大きく息を吐き出すと、すぐに弁護士に連絡を取る、と言って受話器を上げた。
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