同窓会

1/6
前へ
/232ページ
次へ

同窓会

次の週の木曜日。 瑠璃は再びホテル フォルトゥーナ東京に来ていた。 ロビーには、今日もクリスマスツリーの前に写真撮影の列が出来ている。 「まあ!すてきなツリーね」 「俺達も写真撮る?」 「え、でもあの列に並んでいたら、パーティーに遅れちゃうわ」 姉と義兄がそう話すのを聞き、瑠璃は二人にそこに立っていてと告げ、自分はやや遠くに離れた。 スマートフォンの画面をのぞきながら、二人とツリーのバランスがいい角度を探して何枚か写真を撮る。 「うん!少し遠くからだけど、よく撮れたよ。あとで送るね」 「ありがとう、瑠璃ちゃん」 義兄に続いて姉も、ありがとねと微笑む。 「そろそろ行きましょう。遅れるわよ」 母親にうながされ、皆はエレベーターホールへ向かった。 歩きながら、ふと瑠璃は先週の出来事を思い出し、ロビーのソファを振り返る。 (そういえば、あのスタッフの方はどなただったのかしら。和樹さんと知り合いのようだったけれど…) そこまで考えて、急に眉をひそめる。 あの日の夜遅くに和樹から電話があり、次に会う日を一方的に決められた。 絶対に来るように!と強い口調で言われたその約束の日は、明後日の24日。 つまりクリスマス・イブだった。 (行かないとだめよね。だって和樹さんにとって、私は婚約者のはずだもの) 私にとっては… その答えをそろそろ決めなくてはいけなかった。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1749人が本棚に入れています
本棚に追加