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「ああ、熱くねぇ!」
突然、男が言った。熱源に歩み、柄杓を手にとった。
「あっ、ロッ、ロウリュウは...」
和男が慌てて男に向かって声をかけると同時であった。
「ブッ、シュゥ~」」
物凄い熱気と共に水蒸気が霧散した。和男の記憶も揮発する。
ゆら~り。和男が男の腰をめがけて倒れ込む。
「あっ、あぶねぇ!」
咄嗟に男が和男の両脇をがっちり支えてくれた。
息も絶え絶えの和男。男を見上げ、ふるえる声を絞り出す。
「すぅ~はぁ~。すぅ~はぁ~。ふぁいがぁとぅ~ほぉざいまぁすぅ~」
「大丈夫かい?旦那。のぼせたな!」
「・・・」
和男は力尽きたように目を閉じた。ゆっくり首が垂れていく。
「おっとっ、旦那っ!顔ちけぇっ!」
男は和男をそっと寝かして、緊急ボタンに手をかけた。
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