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13.決着をつけましょう
「姫―!!」
強豪バスケ部のエースの彼に足で敵うわけがない。
「その呼び方はやめて!」
悠花は後ろをむいて叫び返した。風が強くてスカートが翻る、裾を前で押さえれば、不意に後ろがめくれてしまう。慌てて後ろを押さえればまた前がめくれる。
「あ、白!」
「言わなくていいから!!」
あわてて叫び返せば、彼が笑っている。ラッキーと言われて悠花は顔を赤くした。
「綺麗な足だから隠さなくても」
「なんなの!?」
「いや、結構足が太い子って多いけど。姫は綺麗だから大丈夫だって」
「だからなんなの!?」
「デートして欲しいなって」
「しませんっ」
(ほんとうに、なんなの!?)
話が通じない、話に脈絡がない。会話が成り立っていない気がするのに、彼は楽しそう。
「――とりあえず、場所変えない?」
別に逃げればよかったけれど、蓮を睨んだまま悠花は周りを見渡し、周囲の視線を感じて、それから頷いた。
決着をつけなければいけない、いつかは話を聞かなきゃいけないし、その呼び方をやめてと言わなくてはいけなかったから。
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