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序章
ダンジョン。
それは多くの冒険者を惹きつけて止まない資源の宝庫。
世界にたった1つの生きたダンジョンはその内側に多くの資源、生命、そして自然を内包していた。
人間の住む人間界と、モンスターや獣人、エルフ等人間以外の種族が住む真層界を繋ぐ役目のダンジョンには、資源の乏しい人間界にとって垂涎の――と言うより生活レベルをキープするのに必須の木材、石材、鉱石等天然素材が眠っている。
薄暗い岩の洞窟などではなく、随所にまるでどこかの自然を再現した箱庭のように森林エリアや山岳エリア、砂漠エリア等がダンジョンの中に詰まっている。
孤島にあるこのダンジョンは、人間が人間界に移住してからずっと資源採掘の場として存在してきた。
そして時折生きているかのようにダンジョンの心臓部が震えると、やがて殻に閉じこもり全てが一度崩れ再建される。
内部構造は変わり、そこにいたモンスターや生き物はどうなるのかは知られていない。
ただ元通りのダンジョンとして蘇ったあとは、いつもと同じように元の棲息エリアに出現するのだ。
今日もダンジョン前の広場は活気に溢れる。
資源を求め、富を求め、あるいは名声を求め冒険者や商人は徒党を組んでダンジョンに入る。
最深部にある真層界へ続く扉の向こうにいる、いずれ人間界を侵略すると言われる魔王の存在を漠然と恐れながら。
だが同時に人間界にはこんな伝説もある。
「世界が混沌に陥った時、勇者が現れ平穏に導くだろう」
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