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番外編2 お姐ちゃんからのチョコレート
「んじゃ悟、これあげる。もちろんのこと義理チョコでっすw」
そのセリフが脳内で何度も再生された。
机に置かれたチョコレート。
毎年のようにもらっていたのに、なぜか今年は動揺してしまった。
知っている。
お姐ちゃんは俺のこと男だなんて思ってないことくらい。
それでも…
「結月……好きだ」
ラッピングを解いた。
中には俺の好きなブラウニーが入っていた。
…ったく。
ブラウニーを頬張る。
優しい甘みが口いっぱいに広がった。
なんで俺の好みにあわせるんだよ。
「もっと好きになっちまうだろうが」
窓を軽く照らす夕日。
そこに軽く敬礼をする。
「いつも照らしてくれてありがとうございます夕日様」
少しだけ声を抑えた。
「折り入ってお願いがあるのですが、どうか結月が俺のことを好きになってくれるように…」
そこで敬礼をやめた。
「だめだな…」
人任せではだめだ。俺自身が変わらないと。
ブラウニーをすべて食べきる。
その様子を夕日は強く眺めていた。
お姐ちゃんからのチョコレート 完
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