3人が本棚に入れています
本棚に追加
車に乗り、エンジンをかける。コンビニで買った缶コーヒーを飲みながら、テレビをつける。
「『スクープワイドショー!』の時間です。今日も生放送でお届けします。いきなりですが、最近、日本では不思議な現象が起こっているのを知っていますか?」
番組の司会を務める女子アナが言う。この子は俺の押しの子だ。とっさにテレビのボリュームをあげる。
「妖怪が全国に出現してるんでしょ? なんでもお金をあげたり貸したりすると、ご利益が返ってくるって話だけど。胡散臭いな」
もう一人の司会のお笑い芸人の男が喋る。こいつは中堅の立ち位置だがネタもトークも面白くないし、自慢話ばかりするから嫌いな芸人だ。
「今日はなんとですね、番組に特別ゲストが来ています!」
「え? 誰誰?」
知らされてなかったのか、司会の芸人も驚く様子を見せる。
「ではお入り下さい! どうぞ!」
カメラが番組中央のセットの右横にある大きな赤いカーテンを映す。明るいBGMが流れたと思ったら、カーテンが開いて中のゲストが現れる。が、俺は自分の目を疑ってしまう。
「今日のゲストはなんと本物の妖怪、ドロンジョさんです!」
「どもども! て、姉ちゃん! わしは妖精や! 妖怪ちゃうで!」
「あ! すいません! 間違えました!」
なんとカーテンから出てきたのはあの人面犬……ドロンジョだった。
最初のコメントを投稿しよう!