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「あの……あのアホとは?」
「まあ、話すとちょっと長くなるんや。あ、お茶飲んでいい?」
「どうぞどうぞ」
ドロンジョはテーブルの上に置かれている氷入りのお茶が入ったグラスを持つ。ストローを咥えたとおもったら、一気に中のお茶を飲み干す。この豪快なところも、間違いない、ついさっきまで神社で会ったあの人面犬だ。
「かー、美味い。で、実はな、わいは五国神社ってとこに古くからおる妖精なんや」
「神社の妖精なんですか?」
「せやせや。しかも、妖精は妖精でも、ご利益がある妖精なんや。あんた、元市長の萩原さんって知ってるか?」
この話の内容……ついさっきまで、俺に話してくれたやつだ。こいつは間違いなくドロンジョだ。
しかし、一体どうやってフジテレビまで移動したんだ? まさか、ワープか瞬間移動でもできるのか。
ドロンジョはカメラの前で、自分の身の丈話をしている。元市長に小判をあげた話、徳川家康と友達だった話、天照大御神様の召使いだった話を延々と話している。司会の女子アナや芸人も人間じゃない生き物の話に興味があるのか、二人とも真剣な表情でドロンジョを見つめていた。
だめだ。テレビに意識がいきすぎて運転に集中できない。これじゃ、事故を起こす可能性もある。
何処か適当に車を停めれるところはないかと、あたりを探していると、ちょうどコンビニが目に止まる。ここのコンビニは今日の昼頃に寄ったコンビニだ。確か缶コーヒーを数本と、パンをたくさん買ったんだった。
車をコンビニの前の駐車場に止める。これでゆっくりとテレビが観れると思ったら、ドロンジョのトークがいつの間にか終わっていた。
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