犬に小判〜プータロウと人面犬〜

『出会い』

　「この映像だけではありません。次にこちらの映像をご覧下さい」

　画面が切り替わる。スマホで神社の上空を撮影した映像が流れる。よく見るとヒラヒラと空を自由に舞う一反もめんらしき妖怪の姿が映される。

　再び画面は変わり、今度は神社近くの池で河童らしきものが泳いでる映像が流れる。

　「このように妖怪を撮影した映像がいくつかSNSやユーチューブに上がっているのです！」

　「はははは。今の時代、加工でいくらでも作れるでしょう。小学生でもよくできたCGとか作れる時代なんですから」

　コメンテーターの男は完全に馬鹿にしてる。女子アナは戸惑いながらも番組を続ける。

　「これだけではありません。さらにSNSで出回っている面白い話があります！」

　きた。俺が一番聞きたかった話だ。

　「なんでも妖怪にお金を渡すと『御利益』が返ってくるらしいです！」

　コメンテーターの男の表情が変わる。

　「本当ですか? 一体どんな御利益があるんですか？」

　「例を紹介します。とある妖怪に一万円を渡した男性は、のちにミニロトの一等を引き当てたとの報告がありました。金額は一千万円とのことです」

　「い、一千万！？」

　「この男性だけではありません。他にも妖怪にお金を渡したことで、テレビ番組の世界旅行チケットを当てた人、競馬で大勝ちした人、弁護士と結婚して玉の輿に乗れた人などがSNS上で報告されています！」

　「胡散臭いねぇ。インプ稼ぎか、ただの売名目的でしょう？」