『出会い』

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 コメンテーターの男は完全に信じていないようだ。だが妖怪は確かに存在し、御利益の話も本当だ。  あれは三ヶ月前のことだ。  親父が俺に妖怪と出会った時の話をしてくれた。  親父が出張で広島に行った時のこと。休日の日、親父は一人で世界遺産に認定されているとある神社に行った。  親父はお参りにしようと神社の賽銭箱に近づくと、その横でうめき声を上げながら腹を押さえ倒れている子泣きじじいを見つけた。  『大丈夫ですか?』と声をかけると子泣きじじいは『お腹が空いた、三日も何も食べてない』と言ったらしく、見兼ねた親父は財布から五千円札を取り出してそれを渡したらしい。  子泣きじじいは『ありがとう!』と言った後何処かに走って消え去ったらしく、その二日後。親父がたまたま商店街の宝くじ売り場でスクラッチを買ったら、なんと五十万円を引き当てたと話してくれた。  昔から厳格な性格の親父が嘘をつくはずがないし、何より証拠にスクラッチで当てた現金とスマホで撮影した子泣きじじいの写真を実際に見せてくれた。  何故かは知らないが、今日本では不思議な現象が起こっている。  これはチャンスだ。  妖怪たちにたくさん恩を売ってお金をがっぽり稼ぐチャンスだ。  上手く行けば自営業で失敗してできた借金を返済することができる。
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