夏の王 ゼイン

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「春の王ジーク様がご帰還された」 一神の神が広間にいる神に聞こえるように叫ぶ。 「ジーク様お勤めご苦労様でした」 「お前達もな」 そう言うと桜の花びらに包まれて消える。 「扉を閉めろ」 ゼインもジークも無事に扉を通ったので一神が閉めるよう指示を出す。 そうしてまた百人以上の神が扉を閉める呪文を唱えだす。 扉が閉まると輝きを放っていた光が消え、集まっていた神達もその場から去っていく。 「お疲れ、ジーク」 ジークが天界の屋敷に戻り自室に入って休もうとしたら、秋の王シグレが何故かいた。 いつもは次の日に会いに来るのに。 人間界から天界に戻ると体の負担が大きいので疲れてすぐ寝てしまうが、今回はシグレがいるのでそうもいかない。 「何かあったのか?」 「まだ、わからん」 シグレは頭を横に振る。 「だが、少し気になることがあってな。疲れているところ悪いが、少し付き合ってくれ」 シグレがそう言うときは大抵何かある。 「わかった」 ジークは疲れているが何かあってからでは面倒なのでシグレに付き合うことにした。 それに、ジークも少し嫌な予感がしていた。 少し前にある事を思い出し、ゼインの事を気にかけていた。 自分の気のせいならいいが、もし当たっていたら今年の夏は一波乱あるかもしれない。
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