騎士団長

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この時代ゼリョルデ国では同性同士の関係は忌み嫌われていたた。 神の子は清く美しい存在でなくてはならないと。 異性の関係こそ神が求めているもの。 それを破るものは悪魔の子と。 そのため、同性同士の関係は神への冒涜であると考えられていた。 もし、同性を好きになってしまった者は人としての扱いを二度と受けれなくなってしまう。 ところが、レオンとジャンはそれに意義を唱えた。 人が人を好きになるのは素晴らしいこと。 我らの神はきっと祝福してくれる。 だから、そういう考えは捨てましょうと。 希望の団長二人が声を上げて同性を好きになった人達を守る姿は最初こそ二人も「悪魔の子」「悪魔の使い」だと言われていたが、しだいに二人の姿に心を打たれ始める人達が少しずつ増えていった。 それでも、この国のほとんどの人達その中でも貴族達はまだ同性同士の関係を忌み嫌っている。 そんな人達から二人は度々そういう関係では無いかと疑われていた。 「やっているのかって言ったんだ」 一斉に笑いだす団員達。 その言葉を聞いた瞬間ジャンが一人の団員に殴りかかろうとする。 慌てて止めに入るレオン。 「ジャン、落ち着け」 「でも…」 レオンの顔を見て「すまない」と悔しそうな顔でそう呟き団員から手を離す。 結局何もできない二人に気分を良くした団員達がわざと肩を押したり足を軽く蹴ったりする。 (自分より上の騎士に肩を押したり殴ったり蹴ったりする行為は、お前は自分より下という騎士にとって不名誉なこと) 二人はただ黙ってその行為を受け入れた。 自分達だけが我慢すれば団の皆んなも町の人達も守ることができる、と。 暫くそうしていると足音が近づいてくるのが聞こえた。 「一体何事だこれは」 声のした方に顔を向けると第七騎士団団長ユエルがいた。
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