騎士団長

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「おい、お前。さっき何故ジャン団長に殴られそうになっていた」 誰も質問に答えなかったので痺れを切らしたのかジャンに殴られそうになった団員に詰め寄る。 「その、よくわかりません」  ユエルの登場に団員達は見られていたのかと一瞬焦ったが、話していた内容までは聞かれていなかったと安堵する。 「わからないのに殴られそうになっと」 「はい」 理由など分かっているだろうにわからない振りをする団員。 「いきなりジャン団長が」「我々は何も」といかにも自分達は被害者でジャンが加害者になるようにユエルに言う。 これには流石のレオンも我慢の限界で文句を言おうとしたがユエルがそれを阻むようにして前に立つ。 「そうか、それは怖かったろう」 ユエルが自分達の味方になったと思った団員達は「騎士なのでこれくらい大丈夫です」と本当は怖かったけど何ともないですと装う。 あまりの図太さに言葉を失うレオンとジャン。 これが貴族。 これが騎士。 こんな奴等と同じだとは虫唾が走る騎士など辞めてやろうかと。 そう思うが団員や町の人達のことを考えるとそんなことは出来るわけもなく、ただ耐えるしかできない二人。 二人はユエルは何も知らないから仕方ないと頭ではそう思うも、憧れの人に勘違いされるのは悔しかった。
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