ごめんねの証

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 雨が雪に変わった──。  予感はあった。  肌を突き刺すほどの寒さで、夕方頃から雨が霙(みぞれ)になっていたから。  寒冷前線の影響で、今夜から明日にかけて雪になると天気予報でも言っていたから。  けれども、夜空を見上げる僕の目にはそれがなんだか神様からのメッセージに思えた。  僕の頬に白い雪の結晶が張り付く。  そしてそれは冷たい雫となって流れ落ちていく。  まるで涙を流してるかのような気分だった。  いや、実際泣いていたのかもしれない。  僕はただ黙って、静かに降るその雪を全身で受け止めていた。  音もなく静かに舞い落ちる雪を、ただ黙って受け止めていた。
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