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「だってさ、リンダくん付き合う前に言ってたでしょ? あんまりこういう話できる人いないからうれしいって。それでなんか、後に引けなくなっちゃって」
「そうやったんや……なんか、ごめん」
「違うよ。オカルトが苦痛だったとか、そういうことじゃなくて、リンダくんと付き合いたかったから、がんばって合わせてたんだよって話。うわ~、なんか物凄く恥ずかしいこと言っちゃってるよ」
「ああ、そういうことか……」
気まずい空気が流れた。
喜べばいいのか悲しめばいいのか、よくわからない感情になった。
頭の傷は意外に深そうだが、本人はさほど痛みを感じていないようで、病院は朝になってから行くと言い張った。朝まで放置して大丈夫なのか、善は心配でならない。無理やりにでも病院へ連れて行くべきか迷うところではあるが、今の自分は単なる元カレに過ぎないのでそこまでするべきではないとも思う。
「俺がこんなん言うのもおかしいけど、この時間じゃ電車もバスも動いてないし、朝になるまでここで待ったら? あんまり頭動かすのもどうかと思うし」
「それは……泊めてくれるってこと?」
「まあ、そうやな」
「ええっ!」雫は自分の体を両手で隠し、善に疑いの目を向けた。
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