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何とも言えない空気のまま歩き、気づいたら駅に着いていた。
「……ってことは、俺のち●こも一生このままってこと?」
思い出したようにぽつんと、楓太が悲愴な面持ちで呟いた。
「かもな。ってか、動画ぜんぶ削除したら? クラゲっちの事件のやつだけ」
「ええっ! 俺の動画の中で一番再生回数あるのに?」
「一生ち●こ使いもんにならんのと、どっちがええねん」
うわぁぁぁと髪の毛をかき乱しながら、楓太は絶叫していた。
これぞ、究極の二択だ。
しばらく悩みはするだろうが、恐らく楓太は動画を削除するだろう。他にできることもない。
トイレで用を足すだけでも痛いのだから、女性といたすことはもちろん、一人ですることもできないはずだ。楓太には耐え難い苦痛であることは、容易に想像がつく。
ご愁傷様と思いながら、善は帰路に着いた。
楓太が出来心で上げた動画のお陰で、とんでもない事実に辿り着いてしまった。出会ったのは単なる偶然だと思っていたが、何か意味があったのだろうか。まさか、ダリアが現れたのも19Hzのせいなのだろうか。
だとしても、彼女はどうしてあそこまで協力してくれたのだろう。雫の事件を解決したと言っても過言ではないが、ダリアに何かメリットがあったとは思えない。
今となってはもう理由を確かめようがないが、本当に亡くなっているのだとしたら、お墓参りぐらい行くべきではないかと善は思った。
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