通知が一枚

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私はどこにでも居る派遣勤めの会社員。 この年収では毎日お風呂など入れない。 身だしなみと言われる化粧品は値上がりしても手当の一つもない。 おしゃれなランチをすることなければ美貌があるわけでもないから、ネット上で有名人になるには程遠い。 疲れた身体を中身も詰め替えずヨボヨボになったビーズクッションで癒やし終える一日をどれだけ過ごしたか。 そこで動画やSNSをチェックするのが日課だ。 ネットを見ると、話題のボーイズグループの新曲情報が。 「…あ、そうか…最近追えてないな…。」 当時テレビの向こうの自分より若いアイドルを応援して、ファンクラブに入会し、グッズも手に入れた。 しかし、ファンクラブの年会費が惜しくなり、それすらやめたことを今思い出した。 視線を横にやると未開封の初代のパーカーがこちらを向いている。 「…今月厳しいな…少しは足しになるかな?」 私はフリマアプリを開いて出品をした。
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