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私も、簡単に捨てられたわけではない。
散々反抗した。謝罪もした。許しを乞いもした。
でも、ダメだった。
やっぱり、ああいう場面では、力の弱い私が敵うはずもなかったのだ。
もう少し、鍛えておくべきだったとはじめて思った瞬間だったのを今でも覚えている。
ああ、いつまで経ってもあの人は来ない。
ふるえる私をゴミのように捨てたあの人をずっと待ち続けないといけないのはなぜだろう。
私があの人を一日放っておいた罰だろうか。
それとも、あの人にいつか罰を与えるためだろうか。
後者であって欲しいと願ってしまうのは、私の心がもうふるえることがないからだ。
そう、もうふるえることはない。
あの人に対しても、ほかの人に対しても。
だから、もう、誰でもいいから早く私を迎えに来て欲しい。迎えに来て、辛かったねと私を慰めて欲しい。可哀想だと私のために泣いて欲しい。
そう願い続けた私の思いが届いたのか、久しぶりに人気を感じた。
ワンッ。ワンッ。
小型犬だろうか。弱々しい鳴き声をあげながら、私の上で跳ねている。
「ぱおちゃん!!急にどうしたの?」
ワンッワンッワンッ。
「なに?ここを掘れって?」
ワンッ。ワンッ。
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