10人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
聖堂附属学校には、自分と同じくらいの少年たちが通っている。
ジャックは、窓の下に潜み、教師の声を盗み聞きした。丁度読み書きを学んでいる。
ジャックは、一言も聞き漏らすまいと必死に聞き耳を立て、たまに窓から黒板を盗み見た。
字が読めるようになったジャックは、本を読んでみた。
今までへんてこな模様だと思っていたものが、すらすらと読めるようになっている。
そして、その書かれていた内容に驚愕した。
朝が来て、夜が来る理由。
雨が降る理由。
空が青い理由。
暑くなり、寒くなる理由。
花が咲き、枯れる理由。
種子が出来て、また花咲く理由。
この本は、自然の摂理についての解説書であった。
どうして、太陽は動くのか。夜になると月が出るのか。夕方になると茜色になるのか。海は青いのか。空は青いのか。
今まで身の回りのことで、当たり前すぎて疑問にも思っていていなかったことばかりだ。
たまに母へ疑問をぶつけても、全ては神の御意思とか神の采配とか、神話の世界に絡めた答えばかり返ってきた。
それらの答えがこの本には書かれている。
感動したジャックは、さらに深く知りたいと、学校へ通うことを渇望した。
しかし、父が許すわけもなく、家にそんなお金があるわけもなく。
ジャックは授業の盗み聞きに精を出すしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!