ジャック

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 聖堂附属学校には、自分と同じくらいの少年たちが通っている。  ジャックは、窓の下に潜み、教師の声を盗み聞きした。丁度読み書きを学んでいる。  ジャックは、一言も聞き漏らすまいと必死に聞き耳を立て、たまに窓から黒板を盗み見た。  字が読めるようになったジャックは、本を読んでみた。  今までへんてこな模様だと思っていたものが、すらすらと読めるようになっている。  そして、その書かれていた内容に驚愕した。  朝が来て、夜が来る理由。  雨が降る理由。  空が青い理由。  暑くなり、寒くなる理由。  花が咲き、枯れる理由。  種子が出来て、また花咲く理由。  この本は、自然の摂理についての解説書であった。  どうして、太陽は動くのか。夜になると月が出るのか。夕方になると茜色になるのか。海は青いのか。空は青いのか。  今まで身の回りのことで、当たり前すぎて疑問にも思っていていなかったことばかりだ。  たまに母へ疑問をぶつけても、全ては神の御意思とか神の采配とか、神話の世界に絡めた答えばかり返ってきた。  それらの答えがこの本には書かれている。  感動したジャックは、さらに深く知りたいと、学校へ通うことを渇望した。  しかし、父が許すわけもなく、家にそんなお金があるわけもなく。  ジャックは授業の盗み聞きに精を出すしかなかった。
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