銀色世界のチョコレート

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 ともちゃんが私たちのクラス、六年一組に「自分チョコ」の概念をもたらしたことは、画期的なことだった。 「「友チョコ」なんて古いんだよ。今は「自分チョコ」。東京の女の子は、みんな自分のためにチョコを買ってるんだって」  ともちゃんは新聞から顔を上げて、そう言った。ともちゃんは新聞を学校に持ってくるくらい博学で、そのともちゃんが言うくらいだから、この情報は間違いないと言ってよかった。 「友チョコ」時代、終了。  これからは、「自分チョコ」の時代。  その宣言は、私たち女子を、どれだけ救ったことだろうか。  去年までは、「友チョコ」の時代だった。だからクラスの女子たちは、「友チョコ」作りで大変だった。  だって「友だち」って、どこからどこまでを表す言葉なのか、何だかあいまいで漠然としている。こっちが覚えてなくても、向こうは覚えてる、なんてこともある。
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