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とりあえず他の受験生達の中に混じって実技試験の会場に向かうと、体育館のようなそこはAからZを使った看板と光の線で仕切られていて、この紙は番号が書かれていた位置に並べということを示しているらしい。マリアはFの看板のところに行けばそこで更に1から5まで数字が振られていて、マリアは3の列に並んだ。 F-3の列には既に四人の少年少女が並んでいて、皆押し黙っていた。
それから暫くして、体育館で言うところの壇上に試験官らしい女性が現れて口を開く。
「受検生の皆様が所定の位置に付きましたので、これからルールの説明に移ります」
試験官の言葉に、壇上の上に布を被せられた四方体の何かが運ばれてくる。それを運んでいるのを、受験生達はただ見ていた。
「ねぇねぇ」
そんな時、マリアの一つ前に並んだ少女が振り返りマリアに声をかけて来た。どうやら運搬作業を黙って見ているのが退屈だったらしい。
「ウチはメイリー。アンタは?」
「マリア。よろしくね」
「よろしく! マリアの後ろの子は?」
言われて、マリアの後ろにも人が居たことに気付く。いつの間にか少年が並んでいたようだ。なるほど言われて周囲を見れば、周りの列も六人で形成されている。この試験は六人ごとに割り振られるらしい。
メイリーから話を振られた少年は、わざとらしいほどにゆっくり前髪を掻き上げてキメ顔を作る。
「僕かい? 僕はウィガーレ家のタイッシュだ。勿論、ウィガーレ家は知っているよねぇ?」
清々しいまでに成金臭を漂わせる少年に、メイリーとマリアは思わず顔を見合わせた。これは知らないと言えば確実に面到臭くなりそうだ。 その時丁度、壇上で荷物の運搬が終わり、試験官の女性が続きを話し始めたのでメイリーとマリアはこれ幸いとそちらに意識を向ける。
「リヒテンシュタン魔法学校の生徒に求めるもの、それは勇気、知力、友情、そして気高さです。それを皆様に、私達に示して頂きます」
女性の語り口調は静かで、しかし威圧感があった。
「今、皆様には6人のチームを組んでいただきました。この6人で、今から試検を受けていただきます。
試験の内容は……——」
そこでバサリと、壇上にあった四角いなにかの布が捲ら る。それと雄叫びが響くのは同時だった。
「このオーク6体を、倒して頂きます」
悲鳴が上がった。
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