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「モンタは、入試どうだった?」
「まあまあだな。筆記は置いておくとして、実技があまりよろしくない」
「うそっ!? モンタにもそんなことあるの!?」
「メンバーが悪かった……というのは言い訳だな。チームメンバーの中に明らかに試験を舐めている態度の受験生が居た。その受験生が、作戦会議中協力もしない上に受験生を馬鹿にし始めた」
「うわサイアク」
「それで、ラウドという受験生がその態度に憤り、オーク六体を一人で始末した後その受験生をワンパンで鎮めた」
「えっ!? じゃあラウドが、なにか罰則とかを受ける羽目になるの……?」
街の中でさぁどこに行こうかと話していたところで、マリアは思わず大きな声で問うてしまう。もし本当にそうなったとしたら、そんなのあまりにも理不尽だ。
「いや、ラウドは魔法を使わず素手で鎮めたし、どちらが悪いかは誰の目から見ても明らかだった。オマケにラウドにはサティサンガ家の後ろ盾がある。受験で不利になったのはあの舐めた態度の奴の方だろうな」
「よかった……何がしたかったんだろうね、その子」
「さぁ? 考察する時間が惜しい」
「それもそーだわ。
ねぇ、カフェ入らない? できればケーキのテイクアウトが出来るお方が良い」
「構わないが……あの侍女にテイクアウトするのか?」
「うんそれと爺やにも……あ、今お世話になってる屋敷の執事長のことね。これからお世話になるし、買って行こうと思って」
マリアの提案にモンタは賛同してくれた。二人は少し街を歩いてから、雰囲気も良く宅配サービスを行っているカフェに共に入る。
「今世話になっているってどういうことだ? お前の家の執事長の名前はバーノンだったよな?」
「そこも含めて話さなくちゃよね。色々あったのよ、アタシが受験を受けられるようになるまでに、本当に色々とね」
それからマリアは、まだ手紙で話していなかった現在の生活についてモンタに話し始めた。ちなみにモンタはコーヒーのブラック、マリアはアイスのカフェラテ、メリンダには美味しそうなショートケーキ、爺やには光沢の美しいガトーショコラを持ち帰りとして注文した。
「サティサンガ家の長男と婚約したのか!?」
「そ〜、あっちから見合い話来て。断れないじゃん? 身分の差的に。まっ、学生の間はこの身分を上手く使わせてもらうつもり。リーロンからも『上手く使え』って言われてるし。今はリーロンが用意してくれた御屋敷に住んでるの。実家からの脱出よ、凄いでしょ。この後遊びに来る? 超広いよ。あんなに部屋要らないよね絶対。気合い入っててさぁ、ウォークインクローゼットにもドレスが沢山! ファッションショー出来るよ。する? ファッションショー。観覧するお客はモンタ一人だけど」
「………そうだな……とりあえず、訪問は日を改めてするよ。 家具や衣類で足りないものがあったら頼れ、と言っても必要無いだろうな。随分手厚くもてなされているようだし。
上流貴族は茶会で一度着たドレスを二度は着ないから、ドレスを予め用意してあるんだろう。お前にとっては理解し難い文化かもしれないが、そういう文化がある」
「へぇ〜……勿体ない」
「言うと思った」
モンタは肩を竦めて笑い、つられてマリアも笑った。
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