21話:お久しぶり幼馴染、こんにちは猜疑心

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「リーロンが今5年生で、あと2年で卒業だからそれまでに次に住む家を見つけておかないといけないの。で、アタシが在学中に就職先を見つけないとね。特待生の資格が取れていなかったから学費を支払いながらしないといけないから怖いわ〜」 「働きたい職場決まっているのか? お前なら、どんな場所でもやっていけるだろうが」 「それが何も決まってないのよ〜。希望の職は、うーん……手堅くて手取り25万ぐらいで交通費の援助が出れば……いや、なんでもない」  交通費のところまで話したところで、モンタが僅かに眉を顰めたからマリアは言葉を濁した。この世界に交通費負担や家賃控除の制度は無いのかもしれない。なんて不便な。 「まぁ何にしろ、今日の受験に受かるとこらからだよねぇ! 受かってるといいなぁ。ダメだったら、婚約破棄とかになるのかしら。わかんない。吐きそう」 「落ち着け。最悪を想定して動くのは悪くないが、それでダメージを受けてどうする」 「ごめん普通に弱くて」 「ほら、カフェラテでも飲んで元気出せ」  勧められるがままカフェラテのグラスに刺さったストローを吸った。唇に触れて口から喉を通り過ぎていくミルクたっぷりの紅茶はマリアの心をホッとさせた。にしても、この中世らしい時代にストローがあるとか本当にどんな世界観なんだろうこの世界。変なところで現代っぽさがあるから気味が悪い。 「受かった時の話をしよう。どうせ受かるんだから」 「モンタのその自信はどこから来るの……?」 「お前は自分が落第する行いをしたと思うのか?」 「それは……思わないけど……勉強だって頑張ったし、実技試験だってチームメンバーと協力することが出来たわ」 「なら、より可能性の高い受かった後の話をした方が生産的だろう」  モンタの言葉に、確かにそうかもしれないと思った。マリアはもう一口カフェラテを飲み込むと、「五つ寮があるんだよね」と口火を切った。 「たしか、それぞれなんか掲げてる方針があったような……」 「勇敢を謳った【スターライトロジャー寮】。  勤勉を謳った【ブルーフランベルッジ寮】。  親愛を謳った【ベアアプフェル寮】。  高尚を謳った【ホワイティローズ寮】。  自由を謳った【ナイトメアジャッジ寮】」 「あぁそれそれ」 「蛇足だが、お前の婚約者リーロン=サティサンガはホワイティローズ寮の寮長だ」 「うそ、初めて知った。あーいや、そんなこと言ってたような……? その寮に入れと言われたのは憶えてるんだけど……アタシ、高尚?」 「……」 「もうその沈黙が答えじゃん!」  マリアはハッキリと答えを明示してくれる幼馴染に、カフェのテーブルにべしゃぁっと身を伏せる。
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