22話:ツリーハウスから庭へと帰り、少女達は囁き合う

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「♪これでこそなんだ この痛みが愛を語っている  ♪ここまでやんないと 僕自身もどうかしちゃっている  ♪流れる血も涙も息も絶え絶え身悶えさえも  ♪全てがこの身の好みの求める望みと誇り」  ここからはメリンダが好きに出来るターンだった。マリアの喉にキスをして、床に降りたマリアの前に傅く。そしてマリアをマネキン人形のように立たせて眼球を、髪の毛を、頬を、唇を、胸を、腹を、肩を、腕を、指を、足を、一つずつそこにある事を確認するかのように触れていく。 「♪例えばアナタがカラスが白いと言うなら  ♪全て塗り替える精神  ♪コスメのノリが悪いならこの世のガラスを  ♪全て砕いて周ってしまうとかね  ♪この訳の分からない忠誠心こそが  ♪今日もフタリ繋いでる奇妙で異様な隠し事  ♪もう気が済んだら目覚めて直ぐ」  この歌を教えたのはマリアだ。前世で聴いていた歌をマリアが口ずさんでいて、メリンダが自然に憶えた。気付けば二人で蜜事を行う時はこの歌を歌うことが決まりのようになっていた。  マリアはメリンダが居なくても生きていける、けれどメリンダが居なければ生きていて楽しくない。マリアの傍に居ることに関して誰もメリンダには敵わない、だからマリアはメリンダを一生侍女として傍に置く。そんな意をこの歌の最初の歌詞から汲み取ったらしいメリンダは随分この歌を気に入っていた。そうして何度も歌を歌ううちに、段々楽しくなってきて毎回ミュージカルっぽく派手な演技や立ち回りをするようになっていったのが今日日(きょうび)の二人である。 「♪ねぇねぇねぇ  ♪「今から何か食べに行かない?」」 「♪「それならいつものあのラーメン!」」 「♪フタリは」 「♪死ぬまで」 「「♪進行形」」 「♪重ね合うのアタシとアナタで」  そこまで歌って、不意にマリアの足がもつれた。バランスを崩したマリアはそのままメリンダを巻き込んでツリーハウスの床に倒れる。マリアはそのまま歌を中断したが、もぞもぞも床に転がったままメリンダに身を寄せて頬にキスをした。 「ちゃんと言いつけ通り、アタシの帰りを待っててくれたのね。しかもアタシのいない間にツリーハウス(ここ)の整理もしてくれてたのね。なんて良い子なんでしょう! メリーは本当に良い子だねぇ」 「はい♡ メリンダはマリア様の言いつけの守れる良い子です♡」 「うんうん、そんな良い子にはお土産があるのよ。ケーキを買ってきたのよ。自分で食べる? それとも食べさせてほしい?」 「食べさせてほしいです……♡」 「良い子ねぇ」  マリアは起き上がり、ケーキを食べるための準備をすることにした。  メリンダが折り畳みのテーブルを広げている間に、自然にツリーハウスに運んできた荷物箱の中からカトラリーセットを広げてマリアはフォークを手に入れる。テーブルの上にケーキの箱を置き中を開いてショートケーキを取り出すと、それをフォークで一口取って隣に座ったメリンダの口元に運んでやった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 曲名:デイバイデイズ 作詞:syudou 作曲:syudou 編曲:syudou 唄:初音ミク・可不 歌詞参考:https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/48180.html
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