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16話:温かい我が家が待っている?
🐰
「金持ちってやべぇ〜……」
それが最初に屋敷を見たマリアの感想である。
婚約の話が持ち上がってから顔合わせをして本日まで二週間程度しか経過していないにも関わらず、マリアとリーロンが二人で暮らすために建てられたという屋敷は荘厳な面持ちでそこに鎮座していた。
ダントルトン家と同じぐらい、否、それより大きいかもしれないその屋敷にこれから暮らすのだと思うとマリアはちょっと気が引けた。
白い壁に青い屋根のその屋敷には既に使用人も雇われているらしく、何人もの人間の気配がある。重そうな門を門番に開けさせて馬車はロータリーに入り、玄関に通じる階段に傍付けされた馬車から、マリアはリーロンの手を借りて降りた。
「本当にここに住ませてもらえるの?」
「お前以外に誰が住むんだよ。入るぞ」
リーロンの後を追い屋敷に入ったマリアは、驚いて後退る。予想していたよりも何倍も、その場所は煌びやかだった。
「本当にここに住んで大丈夫なの!?」
「くどいうるさいとっとと来い」
入ってすぐ、広い玄関ホールにマリアは圧倒される。白い大理石に青いカーペットの敷かれた広間の頭上には豪奢なシャンデリアが煌々と照っており、インテリアの配置にも相当力が入っている。極めつけは繊細な絵筆で描かれた壁画で彩られていることだ。この壁画だけでも、普通の家庭なら数年は生活できるだけのお金が掛かっていそうである。
「お前の部屋は二階だ」
「ぁ、うん……」
傷一つ無い手すりを借りてホールから半円を描くように設置された階段を上がり、マリアは二階へと辿り着く。
二階のアッパーホールも見事なものだった。色とりどりの花で飾られた花瓶の廊下を抜けて、案内された扉へと入る。
「わ、ぁ……」
マリアは部屋の様子に、乾いた笑いを零した。
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