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「というかミス7、あなた今日誕生日だったのね」
「この間からアピールしまくってましたけど!?」
「ああ……『ミス6の誕生日いつ?』ってやたら聞いてきたり、私の目の前で社長に『誕生日ってボーナス出ないの?』って聞いたり、町を歩きながらほぼ一歩ごとに『誕プレこれがいいなあ~』って呟きまくったり、誕生日の予定をべらべらずっと話してたやつね」
「なんでそこまでやってるのに逆に気づかないのよ! ばーかばーか! ミス6のばぁーか!!」
「だって私、誕生日に縁がないから」
さらりと言ってのけ、ミス6はベッドのすぐそばに椅子を引っ張ってきて腰掛けた。
ミス6が言っていることは本当だ。
今まで自分の誕生日を祝われたこともないし、誰かを祝ったこともない。
祝ってほしいとか、祝いたいとか、そう思うような相手だって、今まで一人もいなかった。
ミス7は布団の中から黙ってうつむくミス6を見上げ、ふっと片頬をあげ(ているつもりで)笑った。
ただの変顔だった。
「えーやだぁ、ミス6ってば友達いないのね可哀そうに」
「いないんじゃないの、必要ないの」
「友達いなくて寂しい人はだいたいそう言うー。私なんて、2Yroyalの人全員とお友達なのに」
「誕生日とバレンタインとクリスマスだけね」
廊下ですれ違った人ほとんど全員にダル絡みしたりウザ絡みしたりするミス7は、会社内の全員から避けられている。
しかし誕生日とバレンタインとクリスマスには、「私たち友達よね? そうよね? ね?」と脅して、プレゼントやら友チョコやらをぼったくっていく。
人間性を疑う。
ちなみに年末には会社内の人間全員と親戚になり、「私たち生き別れの親戚だったわよね? そうよね? ね?」と脅して、お年玉という名目で財布の中身をカツアゲしていく。
もう人間じゃない。
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