第1章 過去との決別

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「大丈夫。緊張も失敗も悪いことじゃない。ダメなのはその自分を認めてあげれないこと。緊張している自分も、仮に失敗をした自分でも、自分自身を信じることは忘れないで」  「自分を信じる……?」 「そう、ありのままの自分を受け入れるの」 (自分を信じること……そうだ、だからここまでやってこれたんだ!) 受験戦争を勝ち抜いたのも、いじめに負けなかったのも、全部自分を信じてきたからだ。 「――続きまして新入生代表の挨拶に移ります。新入生代表、内海真己(うつみまこ)」 「は、はい!」 緊張はしていた。不安がなくなったわけでもない。 だが、不思議とその感覚は不快ではなかった。 「頑張って」 微かに背後から聞こえた美少女の声に、真己は振り返り、コクッと頷いた。 ほんの少し照れたような笑顔を携えて。
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