🟢新緑のプラタナス

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 3人ともどこか目が離せず、一人前というにはまだちょっと早い。  だから波子は、あの姿を借りて追い返したのか。  まだしばらくは3人を見守っていてくれ、と。  それにしても……もう少し別のやり方はなかったんだろうか。  いや、自分のことだ。  再会したら頑固に冥府に残ろうとしただろう。  凪人は自嘲気味に心の中で笑った。  だから波子は、無理やりでもこちらの岸に渡らせようとしたのか。  波子の顔が浮かんでくる。  声が聞こえたような気がした。  しばらくはそっちにいてね。そのうち逢えるわ。  凪人が意識を回復して安心したのか、照麻は並びながら軽口をたたく。 「水泳部にいたことをいつも自慢してたのに、だらしない」  月詠が淡々とそれに応じる。 「元気になったら、荒川の河川敷でも走ったらいいんじゃない?」  凪人は思う。  いや、もうしばらくは荒川には足を向けたくない。でも――。 ――あなた自身の身体のことよ――  波子の言葉が凪人の脳裏によみがえった。  基礎体力は大事だと身に染みた。  回復したら、自分のために、娘たちのために、ランニングをまた始めようか。それに水泳も。 「お母さんは、お父さんに逢えなかったって悲しんでるかなあ」  阿須佐が窓の外を眺めたままで尋ねる。  ふたりの姉も、つられて見た。  凪人も、自由に回らない首を少し動かして、横目で窓の外に目をやる。
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