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その後相楽くんは無事に面接をクリアしてその会社に就職した。
相楽くんの仕事は営業職だった。今は新人だから不慣れなのもあるし、やる事も多いようで夜は帰りが10時くらいだった。部屋に戻ってからも資料を広げて商材や営業先に関することを覚えているようだった。
「店で扱ってた商品はわかるんだけど他にもたくさんあるから覚えること多くて大変なんだー。」
相楽くんは笑って言った。
「でも相楽くんならすぐに出来る営業になれそう…」
私は相楽くんを見ながら呟いた。
「それ、会社の先輩にも言われた!俺みたいなのは向いてるんだってー。」
相楽くんは嬉しそうに笑った。
相楽くんは愛想もいいし、見た目もいい。
何より人の求めることにすぐに気づけるから。
資料を読みながら真剣な表情の相楽くんを見て思った。
でも相楽くんは正社員になりたかったの?
営業職になりたかったの?
私がじっと相楽くんを見ていたからか、相楽くんは資料を片付け始めた。
「今日は…もうやめよー。」
そう言って資料をカバンにしまうと私にくっついてきた。
「由貴さん、一緒に寝よ。」
「相楽くん、私に気を使わなくていいのに。相楽くんのペースで…」
「そう言って、由貴さんこそいつも俺が寝る時間まで一緒に起きててくれるでしょ?」
相楽くんが「先に寝てて」と言っても私は起きていた。
相楽くんを一人にしたくなかったし
相楽くんと一緒に布団に入る瞬間が一日で一番好きだったから。
「由貴さん、夜更かしはお肌に悪いよ。」
イタズラな表情で笑った相楽くんの肩を私は膨れてパシっと叩いた。
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