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「晴海さん…かっこよくて、私を理解してくれて今度こそ運命の人だって思ったけど、違った。私が奥さんあっさり別れてくれてよかったねって言ったらすごく怖い顔で怒ったんだよ。そんな言い方しないでくれって。意味わからないよね。
でもそれでやっぱり私にはアイだけだってわかったの。」
「人の家庭を壊しておいて、なんて勝手なことを…」
私は震えていた。怒りと、悲しみと、いろんな感情が一気に押し寄せていた。
「俺はゆうとはいられない。自分の物を持って出ていって。この部屋はもう解約するつもりだから。」
相楽くんの呼吸は少し荒くなっていた。
そんな相楽くんの言葉にも吉井さんは動じない。クスクス笑い出した。
「もー、アイってば何そんなに怒ってるの?仲直りしよ?」
そう言ってベッドの下にあった箱を手に取った。
「見て、まだあるよ?」
それは箱の開いた使いかけのコンドームだった。
生々しい2人の形跡。
思わず目を逸らした。
でも、もうこんな人に負けたくない。
私のことも相楽くんのことも傷つけられたくない。
私は床に落ちていた大きな紙袋を拾うと目についた女性用の物を次々に放り込んだ。
香水、ネックレス、メイク落とし…
「ちょっと…何してるのよっ!」
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