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吉井さんが叫んで、一瞬怯んだけど止めなかった。テーブルのマグカップも入れた。血のついたタオルも、パーカーも。
「勝手なことしないで!!」
吉井さんは私に掴みかかり、相楽くんがそれを止めようと私たちの間に入った。
その時に相楽くんは私を庇うような格好になり、吉井さんが動きを止めた。
「アイ…?何してるの?」
「俺のことはいい。でもこの人を傷つけたら許さない。」
相楽くんは私が持っていた紙袋を掴むとそのまま吉井さんへ突き付けた。
「もう…これを持って出て行って。」
吉井さんは紙袋と相楽くんを交互に見ている。
「本気で言ってるの?」
吉井さんの言葉に相楽くんは頷いて言った。
「ゆうは俺といたら幸せになれないよ。自分を傷つけなくても一緒にいられる相手を探して…
自分も相手も傷つけて続ける関係なんて間違ってる。」
その言葉に吉井さんの綺麗な顔は一気に歪み、彼女の低い声が響いた。
「幸せって何?」
吉井さんは相楽くんを嘲笑うように言った。
「じゃあアイはその人と幸せになれるの?間違ってるのはどっちよ。アイは不幸な女が好きなだけ。自分の母親みたいな女がね!
そんな人が幸せになんてなれるわけないわ!」
そして紙袋を無理やり奪ってから床に叩きつけた。
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