168人が本棚に入れています
本棚に追加
その夜もベッドで二人、横になって抱き合った。
「由貴さんが前に言ってたこと、今日わかったような気がする…」
「私が言ったこと…?」
「俺の過去のことを考えちゃうって言ってたでしょ?
…晴海さんってすごくかっこいい人だよね。
背も高いし、冷静で大人の男って感じ。
男から見てもかっこいい人だ。由貴さんはあの人を好きだったんだって思った。
俺とは…全然違う人だよね。浮気さえしなければ今も由貴さんはあの人のこと…」
確かに私は晴海さんが好きだった。
でも今は…
「私は今、相楽くんの全部が好きよ。顔も声も優しいとこも。」
相楽くんがぎゅっと強く私を抱き寄せた。
「俺も好きだよ。由貴さんだけ…由貴さんが俺の全てだよ。由貴さんが隣にいてくれれば何もいらない。」
その時、何故か
言われた言葉に違和感があった。
とても嬉しいことを言われたのになぜか不安になった。
「俺頑張るよ。誰からも認めて貰えるように。由貴さんに相応しい男だって胸を張れるように。」
違う。
そのままでいいのよ相楽くん。
そのままの相楽くんを好きになったんだから。
会ったその日に好きだと言った無邪気さや私の辛さをわかってくれた優しさ。
そのままで十分素敵よ。
そう思ったのに声にならなかった。
そんな言葉をかけるのは彼のプライドをさらに傷つける気がしたから。
最初のコメントを投稿しよう!