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「…誰だろう?」
震える社用スマホに表示された番号は登録されていなくて誰かわからなかった。
でも仕事関係なことは確か。
頭の中に今かかってきそうな取引先をあれこれ思い浮かべながら電話に出た。
「はい…」『藤原?よかったまだこの番号使ってたのね。』
私に喋る間を与えない早口とこの声。
「敦子さんっ!?」
私の声はフロアーに響き渡り、その名前を知る何人かが固まった。振り向いた顔は引き攣っていた。
敦子さんを知らない世代のレナちゃんたちは反応することなく仕事をしていた。
『仕事中に悪いわね!あれからどーなった?意中の彼とは』
思いっきりプライベートな話にそそくさと席を立ち人気のない場所へ移動してから話した。
「敦子さんに言われた通りすぐに電話して、お陰様で今も付き合ってます…」
『そぉ!よかったわね!じゃあ恋愛コンサルタント料頂かなきゃね!』
「え…?」
敦子さんがいうと冗談に聞こえない。
私いくら払わなきゃいけないの?
『本気にするなジョークよ!でもちょっと頼みたいのよ。』
敦子さんはあれから晴海さんのコーヒーショップを探し歩き、結果見つけられなかったそう。決してわかりにくい場所ではないんだけど。
暇を見つけては探したけどやっぱり見つからなかったそうだ。敦子さんって意外にも方向音痴?言えないけど。
『私今日は時間とれないしもう明日には向こうへ発たなきゃいけないのよ。でもこんなに探したことを思うと意地でもあのコーヒーを飲みたくてね!』
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