好きよ

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「わかりました。送りますね。」 『悪いわね!住所はメールしておくわ!』 嵐のような敦子さんの電話を切り気づいた。 私はコーヒーショップのオーナーが別れた夫だと伝えていなかったようだ。 晴海さんに…会いづらいな。できればもう会いたくないのに。 また相楽くんのこと言われたら耐えられない。 でも相楽くんと再び連絡取る勇気をくれたのは敦子さんだ。 晴海さんに電話してうちに着払いで送ってもらう? またアポ無しで届けに来られても困る。 かと言って絶対“送って”と念を押すのも不自然だ。 あんなに大好きだった人なのに、どうしたら会わずに済むか考えていた。 結局、その日、営業先から直帰して晴海さんの店に向かった。 closeの札のかかったドアを開けると心地よいドアベルの音。 晴海さんは一人片付けをしていた。 ドアベルの音に振り返り優しく微笑んでくれた。 「由貴さん…」 「ブレンドコーヒー、今頼める?会社を辞めた先輩がまた飲みたいって…」 「あー、由貴さんが最初にここへ来たときの…」 晴海さんが懐かしそうに言った。 敦子さんへのプレゼントを買いに来たのが店に来たきっかけだった。 それから私は晴海さんを好きになったんだ。 「今すぐに用意するよ。」 晴海さんの様子はあの日と違っていつも通りだったから安心した。 晴海さんは手を動かしながら言った。 「この間はごめん… もう、会ってくれないかと思ったよ。」 「先輩がどうしてもここのコーヒーを飲みたいというから…」 だから来たのよ。 晴海さんに会いに来たわけじゃない。 「うん。でもあのままっていうのは…悲しいから、来てくれて嬉しいよ。」
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