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「結婚しても、お互い好き好きーって言い続けるのはなかなか難しいよね。うちは2年目だけど早くも空気みたいになりつつあるもん。」
天を仰いで真希が言った。
「そう?私は晴海さんのこと大好きだったよ。5年間ずーっと。でも向こうは私を好きじゃなかったみたい。」
ついぽろっと言った言葉がこれほど場を静かにしてしまうと思わなかった。
「…由貴。」
今にも泣きそうな顔の志津香が言った。
気づけば3人が私に同情の眼差しを向けていた。
「あ、違うの!そんな暗い話じゃなくてさ、だから別れてスッキリしたのよ私。もう無理してコーヒー飲まなくてもいいし、今度は私のことを好きで好きでたまらないって人と恋愛するんだから!」
明るく笑って言うと、3人は少しホッとしたような顔になった。
「やだー!3人とも暗くならないでよ。今日は私の離婚パーティー!明るい未来の幕開けなんだから!」
ワイングラスを掲げた私に3人もグラスを掲げた。
「ではっ!由貴の明るい未来に…かんぱーい!」
今日7回目の乾杯をした。
3人に心配はかけたくない。
私は終始明るく振る舞った。
ワインを飲んで、飲んで…くだらない話で大笑いして自分の離婚を自虐して…。
でも何故だろう。全然酔わなかった。
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