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ハーーッと長いため息をついた敦子さん。
「好きか、好きじゃないか、言いなさい藤原。」
敦子さんに睨まれ私はポツリと言った。
「…好きです。」
私の言葉に敦子さんは肩をすくめた。
「じゃあ電話しなさい今すぐに!チャンス逃すわよ!仕事と一緒よ。」
そう言うと敦子さんは立ち上がった。
「え?敦子さんどこへ…」
「コーヒーショップを探すのよ!」
「私案内します…」
「あんたは電話して早く彼を捕まえなさい!私はなんでも自分で出来るから店も探してみせるわ。じゃ。」
つんと上を向くと敦子さんはスタスタと歩いて行った。
その背中に思わず言った。
「敦子さん…ありがとうございます!また、手紙を書きます!」
すると敦子さんは振り返り言った。
「はぁ?私あんたに手紙なんか貰ったことないわよ?」
「…そうでした。」
敦子さんはコツコツとヒールの音を響かせて歩いて行った。
私は敦子さんに言われた通りスマホを取り出した。
でもスマホを見つめて動けない。
あんな別れ方をしてなんて言えば…
相楽くん…電話に出てくれるかな。
でも、相楽くんを好きな気持ちは変わらない。
あの笑顔にもう一度会いたい。
吉井さんのことを考えると心が辛い。
でも私の心はそれ以上にまだ相楽くんを求めている。
私は勇気を振り絞り電話をかけた。
電話の呼び出し音の長さに比例して緊張が増す。
と、呼び出し音が途切れた。
『……由貴さん?』
あ…相楽くんの声だ。
「ごめん、急に電話して。」
『いいよ。』
「相楽くん
会って話せるかな…。」
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