リアライズ22~Re:REAL~

3/8
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
駅ナカ通路ではストリートダンス、ジャグリング、似顔絵描き、路上詩人沢山の人達が思い思いの表現をしていた。ストリートダンスチームの人がいきなり大きな声を上げる。 「マッポ来たぞ!逃げろ!」 ぽかんとしている私のギターケースと私の手を取ってタケルさんは走り出す。 「東口の下まで、ダッシュ!いくぞ」 「はい、先輩!」 ダッシュには自信があった、サッカー部でも演劇部でも走り込みはあったから。手を繋いだまま、いつの間にかタケルさんを追い越した。 「足もはええな、もっといける」 タケルさんは下り階段を猛ダッシュして手を離さない。ついてくぞ、マッポってお巡りさんだよね?捕まったらヤバい。 久しぶりのダッシュの後、駅ナカ通路で一緒にいた人達は、駅の反対側に回って西口外通路に行く。仕切り直してまた路上表現が始まる。 「あの、ここでやったらまたお巡りさんが…」 タケルさんに小声で伝えると小声で返してくる。 「見回りはポーズだから大丈夫。来たら逃げるのみ。向こうも仕事増やしたくないから、わざとゆっくり歩いてる。この駅の暗黙の了解」 「そうなんですか!?初めて知りました。捕まったらどうしようと本気でダッシュしちゃいました」 「500円玉の表裏、路上表現の裏事情、一杯勉強したな、社会人一年生」 「ですね、あ、あとタケルさんの手品のイカサマも」 「イカサマじゃなくトリックといえ、トリックと」 「はーい、タケル先輩」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!