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「俺達、お互いのこと知らなすぎだなって………毎年、もう4年も夏は一緒に過ごしてるのに……だから取り敢えず俺の話を聞いて欲しい………それで……お前の話も聞かせて欲しい」 「…………お前の言ってることが、よく分からない」 圭さんが、翔さんの話をはぐらかすようにビールを飲む。 それでも、圭さんから視線を逸らさない翔さん。 「お前のことが知りたいんだよ」 「………知ってどうするんだよ………」 苦しかった恋が、圭さんに暗い言葉を言わせる。 本当は嬉しい言葉なのに、素直に受け取れず苦しんでる。 翔さん……負けるな…… 「この夏が終わっても、お前と繋がってたい」 それは愛の告白だった……… 相手のことが知りたい……繋がっていたい………なんて…… 俺からすれば、最上級の告白に聞こえた。 本当は翔さん自身、自分の気持ちが分かってないのかも知れない。同姓に対して特別な想いを持つことに戸惑いもあるんだろう……… でも今言える精一杯で、圭さんに伝えようとしてるんだ。 最後の言葉に、圭さんが何も言えなくなってる。 圭さんも翔さんの気持ちが分かるから、関係を先に進めて良いのか、迷っているのかも知れない………… 男同士で、好きと伝えることの難しさ。 思えば、俺と和も伝えるまでには随分時間がかかった。 自分の想いに気付き始めたばかりの翔さんと、ずっとひた隠しにしてきた圭さん……… 俺は和の手をそっと握ると立ち上がった。つられて和も立ち上がる。俺達は二人を残したま部屋に戻ることにした。 部屋に戻ると当たり前のように二人で俺のベッドに入った。 「あの二人、どうなるかな……」 「…………俺達みたいに………そうなるといいな」 「俺達みたいに?」 「うん、この隙間さえ邪魔って思えるくらいに……」 俺は和との間に空いた隙間を埋めようと、その身体を引き寄せた。 途端にお互いの香りが混ざり会う。 「……クク……ちょっと暑い」 「…………でも離れたくない」 山の夜は涼しい。それでも二人でくっつくと肌がしっとりするぐらい汗ばむ。 なのに………それさえも、和となら心地いいと思ってしまう。 和が胸の中から俺を見上げる。それに答えるようにキスをした。 翔さんの、圭さんの想いとリンクしながらするキスは、優しく甘く溶け合う。 戻ってこない翔さんと圭さん。二人の間で今日から何かが変わるといい……… 俺達は、そんなことを願いながら長い長いキスを交わした。
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