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高速道路を降りて、ナビを頼りに緑豊かな道を進む。知らない道に緊張したけど、さすが田舎道、思ったほど車の通りがなくて安心した。 青々とした空、和の鼻唄が聞こえてきて益々気分が良くなった。 「………早めに出発したから、まだ時間があるよね?」 車のナビでは、あと20分もあれば叔父さんの農園に着く。 もう少し二人きりでドライブを楽しみたい……… というか……二人きりを楽しみたい 「………そうだね」 和も俺の気持ちが分かったのか、うっすら顔を赤くして答えた。 山道の途中にある、今は閉まっているお店の駐車場。道路から離れた場所に車を停めた。 たまに車が通るけど、きっとこちらには誰も気づかない。こんな場所があるなんて、田舎は最高だ。 ハンドルから手を離しシートベルトを外すと、少しだけ車のシートを倒す。 「和を乗せて運転するのは緊張する」 和も同じように、シートベルトを外してシートを倒す。同じ位置に並んだ視線にドキドキする。 「でも無事に連れてきてくれた」 微笑んだ和の手が、俺の手を握る。 その手に指を絡めつつ顔を近づけると、目を閉じて俺のキスを待つ。 その顔が可愛くて、額に唇を寄せた。 思っていた所と違う場所にキスをされて、ちょっと不満そうに和が目を開ける。 その顔も愛しくて……… 「目……閉じてて……」 そう言うと、またゆっくり閉じられた瞳。 今度はその目蓋に優しく唇を落とし、頬へ鼻へと繰り返すキス。 不意に和の腕が俺の首に回りぐっと引き寄せられ、唇と唇が重なった。 お互いの唇を、繰り返し重ねあい味わう最高の時……… 少し開いた口が俺を誘って、頭が沸騰しそうになる。 俺たちのキスは、お互いの香りをどんどん強くするから、酔いが回ったように何も考えられなくなる。 次第に、和に覆い被さるように助手席に身体を預けた。 ここが何処かとか、時間がどうだとか……… もう、どうでもよくなって……… 絡め合った舌とお互いの味に夢中になっていると、俺のスマホがけたたましく鳴った。 それでも止められない俺の身体を、下から和が押す。 「……ン……ンン…電話に出ないと……」 鼻から小さく息を吐きながら言うその言葉さえ色っぽくて、もう一度唇を近づけると、肩をぐうで殴られた。 「ああ!もう!」 運転席に座り直し、スマホを見るとそこには兄貴の名前。 「………もしもし」 思い切り不機嫌な声で電話に出ると 「なんだよ………その声。着いたのか?それとも和を何処かに連れ込んでるのか?」 全てお見通しの言葉。 「…………もうすぐ着くよ!じゃあな」 返事をすると、和がシートを元に戻すのが分かった。 「真冬先輩?」 「……うん」 「……そろそろ行こうか」 「………………………うん」 まあ、いいさ………二人の時間はまだまだあるんだから………
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